Baby moves@NHS 赤ちゃんの動きについて

生まれたばかりの赤ちゃんが、やがて首をしっかり持ち上げ、寝返りをうち、座り、はいはいをして、立ち上がる——。この一連の「動けるようになる力」は、毎日の遊びや関わりの中で少しずつ育っていきます。本記事は、英国NHS(National Health Service:国民保健サービス)の 「Baby moves」 を日本語に翻訳し、赤ちゃんの体幹(たいかん)や運動発達をうながす考え方を、月齢別にまとめたものです。

⚠ ご注意:本記事は英国NHSの情報を翻訳・編集したものです。発達のスピードには個人差が大きく、ここで紹介する月齢はあくまで「おおよその目安」です。気になる点がある場合や、お子さまが早産だった場合は、必ずかかりつけの小児科医・地域の保健師にご相談ください。

なぜ「動く」ことが大切なの?

赤ちゃんが体を動かすことは、単なる運動ではありません。首・肩・背中・お腹・腰まわりの筋肉(=体幹)を育て、バランス感覚や空間を把握する力を養い、やがて自分の意思で世界を探索していくための土台になります。

英国の医務総監(Chief Medical Officer)は、1歳未満の赤ちゃんも、1日に何度も体を動かすことを推奨しています。特定の運動を「させる」必要はなく、日々の遊びや関わりの中で、自然に手足を動かす機会をたくさん作ってあげることが大切です。

タミータイム(うつ伏せ遊び)で体幹を育てる

タミータイムとは、赤ちゃんが起きていて機嫌のよいときに、うつ伏せ(お腹を下にした姿勢)にして遊ばせることです。首・肩・背中・腰の筋肉を鍛え、頭を持ち上げる・寝返りをうつ・座る・はいはいする・歩く、といった次のステップにつながる、とても大切な活動です。

いつから・どのくらい?

  • 生まれた直後から始められます。最初は、大人が完全に目を覚ましている状態で、自分の胸の上に赤ちゃんをうつ伏せに乗せる方法から始めるとよいでしょう(眠ってしまう恐れがあるときは行わないこと)。
  • 最初は 1〜2分程度 から。慣れるにつれて、少しずつ時間を延ばしていきます。
  • まだ自分で動けない赤ちゃんは、起きている間に 1日合計30分ほど のタミータイムを、こまめに分けて行うことが目安とされています。
  • 生後3〜4ヶ月頃までに、自分で寝返りができるようになるまでは、1日20〜30分程度を目標にすると無理がありません。
  • 早い時期から慣れさせるほど、うつ伏せの姿勢を嫌がりにくくなる傾向があります。

嫌がるときの工夫

  • 赤ちゃんと目線を合わせ、顔を見せながら声をかける。
  • お気に入りのおもちゃや鏡を、目の前に置いて興味を引く。
  • 授乳直後は避け、機嫌のよいタイミングを選ぶ。
  • 短い時間を1日に何度も、を基本に。最初から長く頑張らせない。

🚨 安全のために:タミータイムの最中は、決して赤ちゃんから目を離さないでください。また、赤ちゃんを寝かせる(睡眠)ときは必ずあお向けに。うつ伏せでの睡眠は乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高めるため避けます。タミータイムは「起きていて見守れるとき」だけの遊びです。

寝返り:全身を動かす最初の経験

寝返りは、赤ちゃんが 全身を使って自分の体を動かす 最初の経験のひとつです。座る・立つために必要な筋肉のコントロールを学び、バランス感覚や空間認識の力を育てます。

  • 多くの赤ちゃんは、生後4〜6ヶ月頃に、うつ伏せからあお向け、あお向けからうつ伏せへと寝返りを始めます。
  • 寝返りを始めたら、ベッドやソファなど高い場所からの転落に十分注意しましょう。
  • 床に広いスペースを用意し、自由に体をひねれる環境を整えてあげると、練習が進みます。

お座り:手が自由になり、世界が広がる

おおよそ 生後5〜8ヶ月頃、赤ちゃんは支えなしで座れるようになっていきます。最初はぐらぐらと不安定でも、やがて安定して座れるようになり、両手が自由になることで、おもちゃをつかんだり、まわりを観察したりと、遊びの幅がぐっと広がります。

  • 練習の初期は、後ろや横にクッションを置いて、転んでも痛くないようにしてあげると安心です。
  • 赤ちゃんの正面に座って、おもちゃを少し高い位置で見せると、自然と背筋を伸ばして体幹を使う練習になります。

はいはい:移動して探索する

多くの赤ちゃんは 生後7〜10ヶ月頃 にはいはいを始めます。ただし、すべての赤ちゃんがはいはいをするわけではありません。お尻をついて移動する「シャッフル」や、お腹をつけたままの「ずりばい」、自分流のユニークな動きなど、移動のしかたは赤ちゃんによってさまざまです。

  • 少し離れた場所におもちゃを置いて、「取りに行きたい」気持ちを引き出してあげましょう。
  • はいはいで動き回るようになったら、家の中の安全対策(誤飲しそうな小物の除去、階段や角の保護など)を見直すタイミングです。

つかまり立ち:歩くための第一歩

歩けるようになるための最初のステップは、自分の力で立つことです。家具やテーブルにつかまって立ち上がる「つかまり立ち」を通して、脚の力とバランス感覚が育っていきます。

  • 安定した、倒れにくい家具を選び、つかまり立ちの環境を整えましょう。
  • 家の中で過ごす間は、はだし(または滑り止め付きの靴下)のほうが足裏の感覚が育ち、バランスを取りやすくなります。
  • 歩く前の赤ちゃんに、固い靴は基本的に必要ありません。靴が必要になるのは、外を自分で歩くようになってからです。

毎日の「アクティブな遊び」のヒント

赤ちゃんの運動発達は、特別な器具やレッスンがなくても、日々の関わりの中で十分にうながせます。1歳未満の赤ちゃんにおすすめの動きには、次のようなものがあります。

  • 手を伸ばす・つかむ:おもちゃやガラガラを少し離して見せ、自分から手を伸ばすよう促す。
  • 転がる・ひねる:床で自由に寝返りや体のひねりができるスペースを確保する。
  • 押す・引く:自分の力で体を動かす遊びを取り入れる。
  • ふれあい遊び:歌いながら手足をやさしく動かしたり、抱っこで揺らしたりすることも、立派な身体活動であり、親子の絆を深めます。

身体活動は「多ければ多いほどよい」とされていますが、無理にやらせる必要はありません。赤ちゃんが楽しく、機嫌よく動ける範囲で、こまめに取り入れることが何よりも大切です。

長時間「動けない状態」を避ける

赤ちゃんを 長時間、同じ姿勢で固定しておくこと は避けたほうがよいとされています。具体的には、ベビーチェア、バウンサー、ベビーカー、抱っこひもなどに、起きている間ずっと座らせ続けることです(睡眠時を除く)。

  • 移動や安全のための一時的な使用は問題ありません。
  • ただし、起きていて機嫌のよいときは、できるだけ床で自由に体を動かせる時間を作ってあげましょう。
  • テレビやスマートフォン、タブレットなどのスクリーンの視聴時間も、この時期は推奨されていません。

📌 日本の方への補足:日本では、運動発達の節目は母子健康手帳の「保護者の記録」や乳幼児健診(3〜4ヶ月健診、9〜10ヶ月健診など)でチェックされます。NHSの月齢の目安は日本のものとおおむね共通していますが、表現や区切りが多少異なる場合があります。健診の機会に、専門職へ気軽に相談しましょう。

発達には個人差があります

赤ちゃんが新しい動きを身につける順番やスピードは、一人ひとり大きく異なります。本記事の月齢はあくまで一般的な目安であり、少し早くても遅くても、多くの場合は心配いりません。大切なのは、他の子と比べることではなく、目の前のお子さまのペースを尊重し、安全に体を動かせる環境と、たくさんの関わりを用意してあげることです。

ただし、次のような場合には、早めに専門家へ相談しましょう。お子さまが早産だった場合や、特定の月齢になっても首すわり・寝返り・お座りなどの発達が大きく遅れていると感じる場合、体の左右で動きに明らかな差がある場合などです。心配なときは、ためらわずに小児科医や保健師に声をかけてください。

まとめ

  • 運動は体幹を育て、座る→はいはい→歩くといった発達の土台になる。
  • タミータイムは生まれた直後から。1〜2分から始め、起きている間に1日合計30分ほどを目安に。
  • 発達の流れは、首すわり → 寝返り(4〜6ヶ月頃)お座り(5〜8ヶ月頃)はいはい(7〜10ヶ月頃)つかまり立ち
  • はいはいをしない子もいる。移動のしかたは赤ちゃんそれぞれ。
  • 長時間の「座らせっぱなし」は避け、床で自由に動ける時間を確保する。
  • 睡眠は必ずあお向け。タミータイムは見守れるときだけ。
  • 発達には個人差がある。比べず、お子さまのペースを大切に。

出典・参考

免責事項:本記事は英国NHSの公開情報を日本語に翻訳・編集したものであり、医療的助言を提供するものではありません。発達には大きな個人差があります。お子さまの発達についてご心配な点がある場合は、必ず小児科医・保健師などの専門家にご相談ください。最新の情報は出典元の公式ページをご確認ください。